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鉄鉱石の鉱物相分析事例 - 卓上型粉末X線回折装置Aeris(エアリス)

2018/08/14 Posted by

卓上型粉末X線回折装置Aeris(エアリス)を用いた、鉄鉱石の鉱物相分析事例(アプリケーションノート)をご紹介します。

1. はじめに

鉄鉱石の鉱物相の定性的及び定量的情報は、その下流にある粉砕作業・製鉄工程にとっての重要な情報となります。特に炭酸塩やケイ酸塩、粘土質などの混入によって、鉄鉱石の等級が変わるため、鉱物相情報は必ず確認する必要があります。

ここでは、卓上型粉末X線回折装置 Aeris(エアリス)を用いて、鉄鉱石を分析した事例を紹介します。従来は床置き型の大型機でしか実現できなかった定量分析ですが、マルバーン・パナリティカル製のAeris(エアリス)では、卓上型でありながら大型機同様の機構を搭載したことで、定量分析が出来るようになっています。

2. 材料と方法 

Aerisの柔軟性と測定限界を実証するために、異なる鉱物組成を持つ2つの鉄鉱石の試料を分析しました。測定は、コバルト管球を用いて測定されました。コバルト線は、試料からの蛍光X線の発生が少なく高分解能なデータが得られるため、鉄含量の多い鉱物試料に特に適しています。

各サンプルの測定時間は11分未満でした。サンプルの鉱物組成を定量的に調べるために、標準試料なしでのフルパターンリートベルト法[1]で結晶相の自動解析を実施し、鉱物相の定量分析を行いました。また、非晶質相含有量についてはα-Al2O3(> 99.9%純度)を用いて外部標準法にて分析しました [2]。

3. 結果と考察

図1は、ラテライト鉄鉱石試料の粉末X線回折パターンのリートベルト解析例を示します。主要構成成分はゲータイト(FeOOH)とヘマタイト(Fe2O3)で、副成分として、マグネタイト(Fe30.i)、ルチル(TiO2)、アナターゼ(TiO2)、粘土鉱物、炭酸塩、石英(SiO2)および非晶質成分が含まれていることがわかりました。また、7つのラテライト鉄鉱石試料を比較すると、鉄含有鉱物、不純物および非晶質含有量に違いが認められ、ゲータイトと非晶質相との間には相関が認められました。

図1
微量のクォーツ成分と10%以上の非晶質成分を含む環境下での、ゲータイトとヘマタイトからなるラテライトの鉄成分のリートベルト法を用いた定量解析結果

図2には縞状鉄鉱層の分析結果を示しました。全試料の97%以上がヘマタイトであることが判り、マグネタイト、ケイ酸塩および炭酸塩の不純物についても検出・分析できました。

図2
微量のケイ酸塩および炭酸塩の存在下で主にヘマタイトおよびマグネタイトからなる鉄鉱石のリートベルト法を用いた定量解析結果

縞状鉄鉱石ではマグネタイトなどのマイナー鉱物の検出限界は、1サンプルあたりの測定時間に依存します。 Aerisでは測定時間10分の時の検出限界は、すべての鉱物で0.1〜0.2%となりました。

鉄鉱石試料の鉱物学的組成の知識はまた、鉱物の既知の化学量論からのFe 2+ / Fe 3+の存在比の計算を可能にし、クラスタ分析や部分的最小二乗回帰(PLSR)によるプロセス関連パラメータの直接モニタリングなどの統計ツールを用いることで、採鉱や選鉱の各プロセスで鉱物のグレードを追跡することができます。

4. 終わりに

卓上型粉末X線回折装置 Aeris(エアリス)を用いた分析によって、鉄鉱石の結晶相および非晶質相を高精度且つ迅速に分析できることが判りました。微量含有成分についても僅か数分で検出できることが示されました。卓上型でありながら床置き型の装置と同等の感度を有するAerisでは、設置場所を選ばないため、必要なときに適宜分析を行い、結果を迅速にフィードバックすることで、選鉱のプロセスを最適化できます。

9種類の縞状鉄鉱石でのリートベルト法を用いた定量解析結果

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参考文献:
[1] Rietveld, HM( 1969): A profile refinement method for nuclear and magnetic structures. J. App. Crys.2, p.65-71.
[2] O’Connor, B.H.& Raven, M.D. (1988): Application of the Rietveld refinement procedure in assaying powdered mixtures. Powder diffraction, 3:,2-6

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