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深田先生コラム 一歩進んだカロリメトリー
その1 結合モル比nが1にならないのはどうして?

2015/09/01 Posted by

ITC解析をしていると結合比nが1にならないことがあります。n>>1の場合は、当然、複数の結合サイトの存在が考えられますが、n<1になることも時折あります。なぜでしょうか。いくつかの理由が考えられます。まず、セルに入れた蛋白質濃度やシリンジに入れたリガンド濃度が間違っている場合が挙げられます。

(1) 蛋白質の比色法による濃度測定では往々にして不正確な値が得られます。比色法ではなく、単純蛋白質においては280 nm付近の紫外吸収ピークを利用することをお勧めします。その場合も正確な吸光係数を使わなければ正しい濃度を決定することはできません。
(2) サンプル中に含まれる不純物のために濃度が正確に決定できていないことがあります。
(3) 蛋白質に、容易に活性型にならない不活性な構造が混在している場合があります。
セル内のサンプル濃度のみならずシリンジ内のリガンド濃度にも正確さが求められます。カロリメトリー解析においては濃度が最も重要です。リガンド1モル当たりと蛋白質1モル当たりの熱量の比較からn値が決定されるからです。


次に、測定の濃度条件が適切でない場合が挙げられます。n値まで決定できるような(シグモイド形が見られる)濃度条件でないときにはnが1より小さくなったり、あるいは解析不能になってしまいます。適切な濃度で測定し直して下さい。結合が弱いときにはサンプル濃度を十分に高くして下さい。

さらに、滴定しているリガンド分子がセル内のサンプル分子を複数個結合している可能性も挙げられます。たとえば、リガンドに2個の結合部位があればnは0.5になります。



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